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2023.10.09 第11回大東建託賃貸住宅コンペ計画地を語る|稲垣淳哉

稲垣

Eureka メンター建築家

双葉町の状況を知って思うこと

11年間、突然離れなければならなかった住まい。その期間を長いとも、短いとも捉えられる想像力が、設計者に必要なのではないかと思いました。
この地域に住んできたある家族を想像すれば、当然のように長い時間も、未曾有厄災の後、これからの時代に、人間が再び地方に住むことを選んでいく過程と捉えれば、時間を要することは当然ともいえます。
ここに人が集まって住まう場所を提案する時、その両方の時間感覚を行き来しながら考えたいと思います。

コンペの発信情報から、もしこのコンペに参加するなら、どの敷地を選ぶか(全部でも、一つでも)

具体的、物理的なものを根拠とするならば、やはり小学校跡地である④を選ぶと思います。
きっと双葉町への再定住を悩み、考えるために訪れる人や、もう少し気軽に故郷を訪れる人の、「帰還」の心理的ハードルを下げる場所になるのではないでしょうか。

その場所でどんなことができると想像するか

双葉町に縁のある人にとっての「帰還」「移住」「再訪」「一時滞在」とともに、初めて訪れる人の「宿泊」「体験」「観光」、この場を運営する人の「維持」「管理」などのアクティビティが、水平的な時間ではハイブリッドしており、垂直的にはグラデーショナルに選択し、チューニングできるような、様々なモードでこの場に居ることが許される、広義の居住を考えられないだろうかと想像します。

応募者に向けてのメッセージ

私たちは、生まれ育った場所や、家族を絶対的なものと考え、そんな考えを人にも押し付けがちです。一方で、自由に旅をし、新しい人との出会いを求め、暮らす場所を選択し、生活を送っています。
双葉町を長い目、もしかしたら3.11を20世紀の出来事、第二次大戦のように捉える時代を想像して、場所やそこでの出来事に対する人間の想像力を信じ、住むことの拡がりや自由を楽観的に提案してください。