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2023.10.05 第11回大東建託賃貸住宅コンペ計画地を語る|永井雅子・根岸龍介・若林拓哉

Tsubamerev3

つばめ舎建築設計 メンター建築家

双葉町の状況を知って思うこと

このコンペに参加するまで実情を全然理解できていなかったことにまず不甲斐なさを感じるところです。ですが、こういった機会をキッカケに双葉町の状況と今後への前向きな姿勢をもっと伝えていくべきだと思っています。帰還が始まってからまだ日も浅く、時が止まっていたことは、一方で、これまで実施されてきた震災復興事業の数多くの事例を参照するチャンスでもあります。それぞれ上手くいっている点・反省点が様々ある中で、双葉町らしさをいかに創造してゆくかが問われるのではないでしょうか。

コンペの発信情報から、もしこのコンペに参加するなら、どの敷地を選ぶか(全部でも、一つでも)

敷地の文脈やとっつきやすさ、また既存建物の利活用ができる点で④が選定しやすいです。そもそも現状から何か新しいものをどんどん作ってゆく必要があるのか、それよりも様子を見ながら漸進的に取り組むことができる環境を整えた方が良いのではないか。そういった批評性を踏まえた検討ができるかと思います。
あるいは②の敷地で一から作るのもありえます。せっかく「復興」と謳うのであれば、これまでにない双葉町としての明確なヴィジョンを打ち出したうえで、それを実現するための計画案を打ち出せる可能性が最も高い敷地だと思います。

その場所でどんなことができると想像するか

④の敷地では、あるものを活かしながら、たとえばお試し移住や、元々住んでいた人が戻ってきたくなるといった「仮住まい」としての賃貸がありえると思います。
②では前述したように、双葉町としての新しいヴィジョンを打ち出していくのが良いと思います。それが環境的なものか、建築的なものか、文化的なものか、あるいはそれらを統合したものなのか、様々な視点がありえるはずです。
敷地によって、全く違う方向性を提示しうるのが今回のコンペの面白さではないでしょうか。

応募者に向けてのメッセージ

敷地面積も大きく与条件も明確に設定されていないため、かなり難しいコンペではありますが、それはまさしく、自由な発想とアイデアを形にする「建築家」としての実力が問われているともいえます。ここで思考し向き合ったことは必ず今後の建築人生に活きてくるはずです。ワクワクするような提案が出てくることを楽しみにしております。