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2023.10.03 第11回大東建託賃貸住宅コンペ計画地を語る|須藤剛

須藤

須藤剛建築設計事務所 メンター建築家

双葉町の状況を知って思うこと

多くの地域の電気のある便利な暮らしを支えた双葉町は、その役割を担うことによって約11年の長きに渡って住むことができなくなりました。このまちには住むことができなくなった11年間が存在していますが、都市にくらす私たちのくらしは多少の変化はあれ双葉町ほど劇的には変わりませんでした。現代の私たちの便利なくらしは、見えないリスクや犠牲を無自覚にどこかに押し付けるかたちで成り立っているかもしれないという事実を痛感します。そんな双葉町だから描ける未来があるのではないかと思います。

コンペの発信情報から、もしこのコンペに参加するなら、どの敷地を選ぶか(全部でも、一つでも)

手がかりが少ない場所に建築をつくるとき、都市が一日ではできないように、そのまちの過去や未来などの時間や生業や産業などを建築の在り方にどう織り込むかが大切だと思います。それぞれの場所に魅力がありますが、リニアに森に隣接した②、地域の人が集い交流していた③に興味があります。

その場所でどんなことができると想像するか

私だったら、②ならばなぜ森に隣接する形でリニアに土地が切り拓かれたのか、③はなぜ人が交流する場所だったのかに想いを馳せたり、リサーチしたりしてみます。その上で、他所に犠牲を押し付けない自律循環型のまち(建築ではなく)とは?地球環境に出来るだけインパクトを与えずに、不便を伴わない暮らしや、便利に代わる価値観を伴った建築や暮らし方はできるのか?もしくは家賃や事業性から解放された賃貸住宅とは? などを考えてみたいです。

応募者に向けてのメッセージ

実際に敷地があり、しかも最後に避難指示が解除された被災地という特色のある敷地ですが、アイディアコンペなので、リアリティのある提案も、すぐには実現できなそうであっても理想の未来像を描くような提案も、どちらもあり得ると思います。発想に制限をかけず自由に考えてほしいです。
なぜ住むのか、何とどう住むのか、皆さんの「住む」について、提案を通して大いに表現してください。