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2026.10.13 第14回大東建託賃貸住宅コンペ第14回|有識者インタビュー|西島美幸

西島2

西島美幸 (西島株式会社 代表取締役)

フィールドワークサポーター

高岡に価値を生み出し、次の世代へとつなぎたい

繊維業のまち・山町筋で育つ

私は高岡市の山町筋で生まれ育ちました。祖父が創業した繊維関連の会社は今年で創業76年ほどになります。もともとは学生服やセーラー服を中心に扱う繊維の問屋で、富山県内をはじめ北陸地域の小売店へ商品を卸していました。 当時の山町筋には、繊維関係の商店や金融機関が建ち並び、とても活気のある場所でした。問屋や商店が並び、全国からさまざまな人が行き交うまちだったことを覚えています。
1970年頃には事業拡大に合わせて現在の西織ビルを建設しました。ワンフロアが1,200平米、1階はお客様の応接室や展示場、2階は倉庫、3階は縫製工場、4階には社員食堂や住み込み社員の居室があり、このビルだけでも30〜40人、会社全体では100人近い人が働いていました。
将来を見据え、短大卒業後は東京で服飾デザインを学びました。
当時はデザイナーズブランド全盛期で、著名なデザイナーの講義を受けたり、ファッションショーの手伝いをしたりと刺激的な日々を過ごしていました。 服作りの面白さに魅了され、コンテストへの応募や作品制作にも熱中していました。
その後、富山のゴールドウィンや金沢のアパレル業界などで経験を積みました。
多様な視点からものづくりや事業に触れたことは、その後の自身の活動や地域との関わりにも大きな影響を与えています。

時代の波と共に家業を移行。残された建物の活用が転機に

その後、実家の会社に入り家業に携わるようになりました。
その頃の高岡は、問屋センターへの企業の移転や大型商業施設の出店によって、小さな店舗がどんどんとなくなり、まちが大きく変わろうとしていました。巨大なショッピングモールの進出は人の流れも郊外へと誘う結果となり、活気に溢れていた中心市街地からはどんどん人がいなくなり、商店街や山町筋界隈も徐々に活気を失っていきました。
繊維業界も縮小が進み、私たちの会社も長年続けてきた問屋業を終え、会社が所有する不動産を活用した事業へと転換することにしました。
事業整理後、この西織ビルはしばらく空きビルとなっていましたが、周辺で行われた御車山会館や高岡信用金庫の建設工事の現場事務所として活用されていました。
それらの工事が終わり完全に空きビルになった段階で、本格的な活用方法を検討するため、耐震診断や、アスベスト調査を行い安全性を確認しました。
そこから、このビルをリノベーションし、この建物を地域のためにどう活かせるかを本格的に考えるようになりました。

リノベーションスクールとの出会い

いろいろと考えていたタイミングで、高岡で「リノベーションスクール」という遊休不動産を活用して町の活性化に繋げていこうという取り組み・勉強会が行われることを耳にしました。私も学びたいという思いから参加し、西織ビルを対象物件として提供しました。そのことによってさまざまな人との出会いが生まれ、現在3階や4階に入居してくださっている方々の中にも、当時のリノベーションスクールが縁になった人たちがいます。
「リノベーションスクール」でビルをどのように再生していくのか、まちとどのように関わっていくのかを学び、その知見を生かし、その後も定期的なマルシェやイベントも開催しながら、「人が集まる場所」の可能性を探り続けています。
また現在、町内会や地域協議会の活動にも携わっています。 高岡の中心市街地には空き家の問題もありますが、一方で「外の人に貸したくない」「売りたくない」という意識もまだ根強く残っています。私自身も昼間は西織ビルで活動していますが、自宅は郊外になるので、ここには住んでいないという意識を持たれていると感じることも多々あります。
だからこそ、イベントや交流の機会を通じて、昔から住む人と新しく関わる人が自然につながれる環境づくりが必要だと感じるのです。
音楽イベントやマルシェ、防災訓練などを通じて、少しずつ関係づくりを進めています。 そういったイベントを行うと、なかなか外に出てきてくれない地元の人たちも少しずつ顔を出してくださるようになり、会話が生まれ、まちへの意識も少しずつ変わってきているように思います。
長い道のりではありますが、そういったことを地道に続けること、続けていける環境づくりをこれからも粘り強く行なっていきたいです。

コンペ応募者へのメッセージ

──地元の人が気づいていない高岡の魅力を発見してほしい──

高岡市外から来た人はよく、「高岡には素晴らしい資源がたくさんある」と言います。 伝統工芸、歴史的なまちなみ、職人技術、食文化。全国的に見ても非常に魅力的なものが揃っています。 しかし地元の人は、それが当たり前すぎて価値に気づいていないことが多いのです。
私はそれが本当にもったいないと思っています。
まずは地元の人自身が、このまちに誇りを持てるようになること。そしてその魅力を外へ発信していくことが大切だと思っています。 また、少子高齢化が進む一方で、子育て世代が安心して暮らせる場所への関心はとても高まっています。
集合住宅や一戸建てが単体で関係性を持たずに建ち並ぶということではなく、適度なつながりがありながらもプライバシーも確保できる暮らし方が求められているのではないでしょうか。
特に子どもたちが安心して遊び、多世代が緩やかにつながれる環境は、これからのまちづくりに欠かせない要素だと思います。
高岡は「雪が多い」「天気が悪い」というイメージを持たれがちですが、実際に来てみると全く違う表情があります。 歴史あるまちなみ、豊かな自然、人と人とのつながり、そしてまだまだ活かしきれていない魅力が数多くあります。 ぜひ、高岡の可能性を前向きに捉え、そこに住む人が明るい気持ちになれる提案を考えてほしいです。 天気が良くても悪くても、そこにいるだけで楽しくなり、自然と地域への愛着が育まれるような住まいや暮らし方を提案していただければと思います。