2024.08.09 第12回大東建託賃貸住宅コンペ第12回|京都LIBRARYはじめました
大東建託賃貸住宅コンペ、第12回目の開催の舞台は京都です。
前回より、コンペは新たなフェーズに入り、賃貸住宅の新たなあり方をよりリアリティある提案として皆様に考えていただくため、現実のまちへ出て、まちが抱える現状の課題と向き合う、「まちへ出る」コンペとして地域と向き合い、開催していくことになりました。
その設定で迎えた前回、第11回の開催は東日本大震災で被災し、10年以上にわたりほぼ全域が「帰還困難区域」となり、2022年8月末に避難指示が解除された福島県双葉町にて行われました。まだまちに人が戻っていない状況の中で、これからのまちづくりを見据えつつ、賃貸住宅はどういった役割を担うことができるのか、その視点からさまざまなアイデアを出していただきました。
第11回を経ての第12回の敷地は、京都全域を見据えます。
コンペが「まちへ出る」ことを主旨としていた中で、福島県双葉町の開催においては、現地ツアーを行ったり、現地の情報発信を積極的に行いましたが、多くの方に足を運んでいただくのは難しい状況でした。第12回では誰もが一度は訪れたことのあるまちへ赴き、皆さんがまちの感覚を有し、より深掘りすることができる場所として京都を選定し、「京都に住まう」あり方を考えていただきたいと思います。
京都全域を敷地対象エリアとする今回、「住まう」ことに繋がる京都の状況をリサーチしました。
しかし一方で、まち中の地価は高騰しています。京都市は周辺県の都市圏が非常に近いため、京都に勤める人たちは交通の便がよい周辺地域を選択する傾向があります。一方で市内の京町家的な場所に価値を見出し、空き家となっている京町家に拠点を構えることで、京都に根付いた活動を目指していく人たちもいます。
住宅地の開発は碁盤の目状の京都中心部から外へと広がりつつある中で、まち全体としては景観を見据えながらの高さ規制の緩和も含めて少しずつ市内中心部に集まっている熱を外へと出していく、周辺地域と周辺都市圏を連携していきながらの今後の京都のあり方が模索されています。
日常の住居において「生活文化」の思想が今でも大切にされており、日常生活に溶け込んだ京都ならではの文化は、床の間、あかり取り、空気の通り道や中庭の設えなど、住居の構造や設備にも反映されています。
また、生活文化と自然観が相まっており、まちの中に居ながら常に自然を感じる「市中の山居」的な場が住まいに取り込まれている独自の価値観を持っています。
これらハレの場は生活の知恵であり、その時期には着物を新調したり、必要な物品の製作や調達する。そのこと自体が文化となっています。多くの職人の技術が京都の文化を支え、ハレの場が生活の中に定期的に組み込まれることで、経済が動く。文化と経済が連動しています。
また、これらの行事を動かしていくために地域の人々は連携し、それぞれの役割を順番に担い、地域のコミュニティが自生する役割も果たしています。
人が多く集まる京都市中心部は観光地として国内外で注目される場所ですが、京都北部のエリアでも、舞鶴市、福知山市、京丹後市、宮津市、綾部市の5市、伊根町、与謝野町の2町からなる地域は「海の京都」としても注目されています。また、京都南部山城地域は、京野菜や花、有名な宇治茶がたくさんつくられており、農業をする人に若い人が多いのも特徴です。
中心部だけでなく、周辺市町村にも特徴あるさまざまな状況が生まれており、そういった場所でも新たな住まいが求められています。
第12回のコンペでは、コンペ応募を検討いただいている皆さまに、京都のリアルな状況を発信すべく、現地でお仕事をされている方、町との密接な関わりを持って活動されている方、京都ならではの住まい方を実践されている方などさまざまな方にお話をお聞きし、「京都LIBRARY」として発信していきます。
京都の表層を捉えるだけではなくより深層へとアプローチし、「京都に住まう」あり方を皆さまと一緒に考えていきたいと思います。
大東建託賃貸住宅コンペ 事務局一同