第10回大東建託賃貸住宅コンペ 新たな賃貸スタイル部門
テーマ 新たな賃貸スタイル
賃貸住宅の仕組みを工夫して空間のあり方や生活を変えているプロジェクトを募集します。実際に完成した建築、または完成予定のプロジェクトが対象です。皆様のご応募をお待ちしています。
(アイデア提案部門のテーマ「賃貸住宅とSDGs」に沿った内容でなくてもかまいません)
賞金
- 審査委員特別賞3点各30万円
※賞金はすべて税込です
スケジュール
- 2022年4月1日 (金)応募登録開始
- 2022年10月9日 (日)登録・作品提出締切
- 2022年10月頃受賞者への通知
- 2022年12月頃表彰式
- 2023年2月1日 (水)最終結果詳細発表
最終結果は『新建築』2023年2月号,および当ウェブサイトにて発表します.
※登録・作品提出締切を『新建築』誌面,ダウンロードPDFから変更しています.
応募要項
応募資格
建築主、事業者、運営者、設計者など、どなたでも応募できます。ただし、あらかじめ建築主を含む関係者の了解を得るなど、版権および著作権に問題のない内容でご応募下さい。
応募方法
新たな賃貸スタイル部門では、当ウェブサイトの応募フォームに従って、応募者の情報、審査に必要な文字情報、画像、図面などをアップロードしてください。
応募締切 2022年10月9日(日)
※『新建築』誌面、ダウンロードPDFから変更しています。質疑
募集対象や応募方法などに質問がありましたら、 件名に「大東建託賃貸住宅コンペ 新たな賃貸スタイル部門」 本文に 1.氏名 2.所属 3.メールアドレス を明記の上、下記メールアドレスまでお送りください。
kentaku@japan-architect.co.jpその他
・受賞作品の発表に関する権利は主催者・後援者が保有します。
・受賞作品に関して、写真の画像データの再提出をお願いする場合があります。予め応募者が版権の確認と使用許諾をお取り下さい。
・本コンペにおいて取得した個人情報は、主催・後援・コーディネートが共有しますが、本コンペの運営以外に使用いたしません。また、第三者に譲渡や転売はいたしません。
表彰式
2022年12月頃
ROOFLAG賃貸住宅未来展示場/東京都江東区東雲1-4-1
「アイデア提案部門」と合わせて表彰式を行います。また、受賞されたプロジェクトについて、簡単なプレゼンテーションをお願いします。 プレゼンテーションに必要な資料などについての詳細は、審査後、受賞者にすみやかにお知らせします。受賞者3組には各組2名分までの交通費を支給します。
受賞者との取組み
防災と暮らし研究室「ぼ・く・ラボ」新たな取り組み
第8回「新たな賃貸スタイル部門」の受賞者である、エウレカ稲垣淳哉さんと賃貸住宅コンペをきっかけに、PFI事業(公共施設の民間資金等活用事業)の移住促進住宅において共同設計を行うなど、コンペ後もつながりを深めています。
また、大東建託グループの取組である防災に配慮した賃貸住宅として「防災と暮らし研究室「ぼ・く・ラボ」」メンバーとともに、ぼ・く・ラボ賃貸「niimo(ニーモ)」を開発し、販売しました。
結果発表
審査委員特別賞 3点/賞金各30万円
須藤剛建築設計事務所
ニシイケバレイ(東京都豊島区,2021年4⽉)
池袋駅から⾄近の幹線道路沿いに位置し,この地に⼗数代住むオーナーがもつ築年数も規模も構造も異なる複数の住宅群(共同住宅と専⽤住宅)に新たな⽤途をとり⼊れ,⾃⽴⽣活圏を⽣成しエリアの価値を⾼めることを⽬的とした.
敷地の⼤部分は幹線道路沿いの⾼層ビルの裏側に位置し,それぞれの建物は塀や道に隔てられ,かかわることなく存在し,ひとつのエリアとは認識しづらい状況であった.
【仕組みの特徴】賃貸住⼾を家賃やスペックなど定量的なデータではなく,だれもに開かれだれもが参加することで出来る場を⽬指している.そのことで⼤きな改修を⾏わない14階建ての集合住宅にも住む動機をつくり,知名度を⾼めることで,広告や仲介もなく⼊居者を集めはじめている.コワーキングやカフェなど,⾃社事業を通し収益を得ながら,エリアの価値を⾼める相乗効果もでている.
買い物をした地元のかたが軒下に集まり,会話する光景が生まれている.街に開くことで新たな人の流れが生まれ,あたらしい日常の風景となりつつある.
上4点:この地に長く住む同じオーナーが所有している,規模も構造も築年数も異なる建物を一体的に改築.塀を取り払い敷地を連続させつつ,建物は必要最小限の改築を行った.
敷地平面と断面
審査委員コメント
◯既存の雰囲気を残しながら,複数の建物を繋げて地域に貢献していくという試みが実現できている点も含めて貴重な事例だと思う.(赤松)
◯関係者が目指している地域の賑わいやコミュニティが実際に生まれ,継続的に運営できている仕組みも含めて,理想的な状況だと思う.(横川)
◯個人レベルで地域を開発した好例.オーナーの想いを建築的に実現し,ビルの谷間に賑わいが生まれている.運営も含めて素晴らしいと思う.(林)
審査委員特別賞
鎌倉設計工房
洲崎町の町屋(神奈川県横浜市,2012年5⽉)
現在,⽼⼈を受⼊れる施設は多いが,昔の様に⾎縁に捉われず地域社会の中で⽣涯を過ごしたいと思う⼈も多い.そのような⽼⼈や若者への住まい⽅の提案として本計画を位置づけている.オーナーはグループホームを運営しているため,⽼⼈が集まって住むことの実際を知っている.オーナーは⾃宅の建て替えにあたって,⼀⼾建てではなく⼀⼈暮らしの⽼⼈もサポートできるような共同住宅を選択.⾃らもそこに住み若い⼈達の参加も募り顔の⾒える⼩さなコミュニティをつくる.「構成する8戸が⼀軒の⼤きな家」これがコンセプトである.
【仕組みの特徴】オーナー⾃⾝が住み,ここでの暮らしを⼀緒に楽しむ.⾷事会を⾏い,住⺠同⼠の交流を図る.以前は,オーナー主導で⽇程決定や連絡をしていたが,最近は,グループLINEで連絡するようになり,「⿂を釣ってきたのでみんなで⾷べませんか.」など,オーナー以外から提案される会も増えた.また,急病で家から出られなくなった時も,誰かが薬を買ってきたり,差し⼊れを買ってきたり,ちょっとした助け合いがなされている.
上6点:「1軒の大きな家」がコンセプト.中庭をはさんでV字型に配置.V字の北側に1DKタイプが5戸と食堂,みんなのスタジオが,南側に2DKタイプを3戸を設けている.
1階平面
2階平面
審査委員コメント
◯住まい手が高齢者だけでなく20代から80代まで幅広いことも高く評価できる.(千葉)
◯大家と住まい手のよりよい関係が10年以上継続できている実績も素晴らしい.理解のある協力者とともに運営していることがよく伝わる.(横川)
◯高齢者が家を借りるのは大変で,それによって選択肢が狭められている現実もある.そうした状況への小さな試みだが,社会的な課題への投げかけにもなっている.(林)
審査委員特別賞
関西大学建築学科有志(藤本恭輔/大倉悠/中村友昭/岩田博登/水本佳吾)+カンデ(辻村修太郎)+だんだんテラスの会
小さなコトから団地の新しい風景をつくる
-不要品が生み出す豊かなライフスタイル-(京都府八幡市,2022年4⽉)
男山地域は,入居開始から40年以上が経過し,少子高齢化の進行や地域コミュニティの希薄化が課題となっているとともに,団地再生の方向性についての課題があった.そこで,「関西大学・UR都市再生機構・京都府・八幡市」の四者による「男山地域まちづくり連携協定」を締結し,関係者間での協議会が行われるようになった.UR都市再生機構が所有する団地の空き店舗にコミュニティ拠点を設け,大学生が活動の企画・運営を行うのみならず地域コミュニティの活性化,住民の地域活動への参加を促進している.本プロジェクトは常駐を通して建築を学ぶ学生が,男山団地が現在抱えている課題に向き合い,男山団地のみならず男山地域全体の活性化を長期的視野を持って再生していくことを目的としている.
【仕組みの特徴】小さな実践を積み重ねた上で人々や周辺環境との関係をデザインする.現地でその土地の居住者と関わりながら分析・活動を行うことで,ライフスタイルに寄り添う形で探求し,地域の答えを追い求めることができる.
毎月開催するフリーマーケットでは活動によってうまれたさまざまな備品が用いられ,継続的な運営を支えている.こうしたモノづくりを繋げていくことから地域コミュニティを育てている.
上4点:団地中央に位置する商店街の空きテナントを「だんだんテラス」と「だんだんラボ」として利用.モノづくり,コミュニティづくりの拠点としている.
1972年に入居がはじまった約6,000戸の団地.敷地中央には見事な並木道が通る.
審査委員コメント
◯築50年以上経過した大規模団地は全国に数多く,社会課題に一石を投じている.こうした小さな活動の積み重ねは大切なことだ.(千葉)
◯団地に住んで活動している関係者もいて,ここまで主体的かつ継続的に活動することは簡単なことではないと思う.今後の展開に期待したい.(赤松)
◯学生やそのOBが部活動のように後輩も育成するなどの仕組みも面白い.継続的な活動とするために,ある程度ビジネスに展開することも検討するとよいと思う.(横川)