主催:大東建託株式会社  後援:株式会社新建築社

最新情報

2015年2月27日
審査講評をアップしました。
2015年2月13日
2次審査結果発表をアップしました。
2015年2月10日
公開2次審査終了しました。
2015年1月26日
1次審査結果発表をアップしました。
2015年1月9日
公開2次審査観覧者募集ページをアップしました。
応募登録の受け付けを締め切りました。
2014年9月1日
ホームページをオープンしました。
応募登録の受け付けを開始しました。
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過去のコンペ

審査講評

 

小泉雅生

今回は「40年後の未来の賃貸住宅」という課題を出しました。われわれの予測不可能な40年という未来を見据えて、前向きな建築を提案して欲しいという思いがあったのですが、応募作品全体を通して、今問題となっている少子化や縮小する社会などを背景とした対処療法的な提案が多く見られました。未来に対して夢を持って語って欲しいというわれわれの期待とは逆に、それが現代を生きる皆さんの社会観なのかもしれないとも感じました。最終的には「超賃貸空間 ─すべてが貸される複合建築─」(小泉・小松案)が最優秀賞に決定しましたが、このペアは建築の力を信じている姿勢がとても印象に残りました。また、入選・学生特別賞の中にも、非常によい視点をもった提案が多数ありました。たとえば、「土木構築物と生きる家」(平田案)の橋の管理修繕をする人を橋の上に住まわせる案は、縮小する社会を真正面に捉えつつ、とても夢があると思いました。また、「風と生きる街、風と生きる賃貸」(荒原・小野案)の風車が建築の外観をつくる提案は、環境配慮が求められる中、牧歌的なかたちで賃貸住宅がつくる風景を描き出していて可能性を感じました。公開2次審査で発表された6作品は、プレゼンボードからさらに議論を深めたい思いで選ばれた作品です。公開審査では各作品に対して厳しいコメントもありましたが、さまざまな議論ができました。コンペは皆さんにとっても、いろいろなことを考えるよいきっかけになると思います。これで終わりにするのではなく、このコンペからさらに明るい未来に繋げるべく、建築の明日を考えていただければと思います。

 

五十嵐淳

審査は審査委員4人で選出している以上、さまざまな尺度で選出された作品が残りますが、最優秀賞は満場一致で決まり、とてもよくできていたと思います。明快でリアリティがあり、根源的な空間のよさもありました。このような場では、いつも何のために建築をつくりデザインするべきなのか悩みます。自分自身にとっても、審査委員としてテーマを深く考えるよい機会をいただいたと思っています。賃貸住宅には、生活の変化に合わせて引っ越ししたいと思えば気軽に移動できる自由さがあります。ただ世の中の賃貸住宅を見ると、どこか不自由さを感じるものも多いです。私自身としては、空間を特徴付ける建物独自の仕組みや仕上げを持ちつつも、裸にした時にはスケルトンになるもの、建物自体を自身で更新できるシステムがあるものに今後の可能性を感じています。

 

鍋島千恵

40年後の未来を考える難しい課題だったと思いますが、創造性に富んだ将来の理想論ではなく、賃貸住宅の現実的な可能性を広げてくれる提案が多かったと思いました。中でも最優秀賞に選ばれた「超賃貸空間 ─すべてが貸される複合建築─」(小泉・小松案)は、未来の社会的ニーズをふまえて具体的な運用システムをリアリティのある提案にまで押し上げていることが評価されたと思います。ただ、その賃貸の仕組みの鮮やかさが目立つ一方で、建築空間としての「豊かさ」が見えづらかった気もしています。優秀賞の「“X-Y-θ°” ─道に暮らす住処─」(野口案)は、従来の賃貸による小さな所有の集まりが未来の立体的な都市を築き上げていくというアイデアに、住宅産業の分野を超えて広がる街づくりの未来への展望を感じました。未来というものは将来、未来ではなくなり現実になります。だから、もう少し具体的な空間のイメージが湧く提案を見てみたかったというのが正直な感想です。

 

小林克満

第3回の本コンペに多数のご応募をいただきありがとうございました。今回「40年後の未来の賃貸住宅」という課題で、若い人たちがこれからを真摯に考えていることを知ることができました。人口減少、少子高齢化から生まれる多様なライフスタイルや空室問題などさまざまな社会的な問題意識を共有できたと思います。ただ、問題意識に対してもっと明るい未来を描いて欲しいという期待感もありました。40年後は必ずやってくるものなので、今回最優秀賞に輝いた小泉・小松ペアをはじめ、受賞された皆さんが建築を通して、生き生きとした未来を描いていただけたらと思います。大東建託創業40周年を記念して発足した「賃貸住宅未来研究所」(http://mirai-ken.com)では、現在2,400万人を超える働く女性のための賃貸住宅づくりを目指した「女子ゴコロ100%プロジェクト」が始まっています。今後の展開として、そういったテーマで住宅を考える必要も出てくるでしょう。さまざまなニーズにアンテナを張り、賃貸住宅が社会や環境についてどのようにコミットしていけるのかを継続的に考えていけたらと思っています。