賃貸住宅は、ある一定期間、個人や家族のために居住空間を提供し、それらの集合体としてさまざまな場所につくられています。今までの本コンペでは、集合体の中にある「私」と「公」の関係性、コミュニティのかたちといったテーマを取り上げ、新たな賃貸集合住宅のかたちを模索してきました。今回はこれらのテーマをさらに発展させ、「進化する賃貸住宅」について考えます。人間が使用するさまざまな機能は、進化し続けてきました。自動車であれば現在は自動運転への道が進化の過程であり、コンピュータは人工知能との連動が研究されています。人間によって開発され、使い続けられてきたツールは、常に進化をしているのです。では、住宅の進化とは、賃貸住宅の進化とは、一体どのようなものでしょうか。近年注目されるシェアハウスの出現は、住まい方のひとつの変化ではありました。しかしこれは、コミュニティが喪失した集合住宅への対処療法的概念であり、進化とは言えないかもしれません。自動車やコンピュータのように、機能向上すれば進化なのか、それも住宅の進化とは言えないでしょう。住宅は機能を伴った空間を持ち、街をつくる一要素でもあります。ですから、一義的な進化はあり得ないのです。賃貸住宅には、住宅でありながら、賃貸であるという制度があります。住宅としての進化に加えて、賃貸としての進化を深く考えてください。今までの住宅のあり方はどういった進化の過程だったのか、そして、これからの住宅、賃貸住宅はどのような進化を遂げていくのか。個々のイメージをかたちにしてください。「進化とは」の問いに、明確に応えてください。「誰でも想像できる変化」ではなく、「まだ見ぬ未来の進化」に期待しています。